電気双極子が作る電場は近似で簡単な式にしてしまおう!

電磁気学
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taniten
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今回は電気双極子が作る電場の問題をやっていくよ!

電気双極子の問題苦手なんだよね・・・。
近似の仕方が分からないと言うか・・・。

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

近似式も含めて解説していくから大丈夫!
それじゃあ早速やっていこう!

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問題

間隔を\(d\)だけ離して置いた2つの点電荷\(q,-q\)のつくる電場を求めよ。さらに、電荷からの距離が間隔\(d\)に比べて十分遠い距離における電場はどうなるか?

まず電気双極子の作る電場を求めた後に、その式を近似する問題だね。

ふうた君
ふうた君

解説

必要な知識

空間上の位置ベクトル\(\vec{r_{1}}\)にある点電荷\(q\)が、位置ベクトル\(\vec{r}\)につくる電場ベクトル\(\vec{E}(\vec{r})\)は、
$$\vec{E}(\vec{r})=\frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{\vec{r}-\vec{r_{1}}}{|\vec{r}-\vec{r_{1}}|^3}$$
である。

電場は、空間上の任意の点においてどの方向にどのくらいの大きさで働いているかを表すために、ベクトル(\(x,y,z\)の3成分からなる)で表記されます。
また、そのため電場ベクトルは位置ベクトルの関数になっています。

ここで、例として座標\((x_{1},y_{1},z_{1})\)にある電荷\(q\)の点電荷が、座標\((x,y,z)\)につくる電場の\(x\)成分を求めてみましょう。


上の電場の式のベクトルで表された部分を、\(x\)成分で表記して計算すれば良いのですが、右辺の分母にある\(|\vec{r}-\vec{r_{1}}|^3\)は、任意の座標と電荷の座標の間の距離なので、成分によらず決まった値を取ります。

今回の場合、座標\((x,y,z)\)における\(|\vec{r}-\vec{r_{1}}|^3\)は、
\begin{align}
|\vec{r}-\vec{r_{1}}|^3 &= \left[\sqrt{(x-x_{1})^2+(y-y_{1})^2+(z-z_{1})^2}\right]^3 \\
&= \left[(x-x_{1})^2+(y-y_{1})^2+(z-z_{1})^2\right]^{\frac{3}{2}}
\end{align}
となるので、電場の\(x\)成分は、
$$E_{x}=\frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{x-x_{1}}{[(x-x_{1})^2+(y-y_{1})^2+(z-z_{1})^2]^{\frac{3}{2}}}$$
となります。

他の成分についても同様にして求めることが可能です。

また、空間に2個以上の電荷が配置されているとき、電場は個々の電荷が各点に作る電場をベクトル的に重ね合わせたものになります。
これを重ね合わせの原理と言います。
単純な和ではなく、ベクトルの合成による和であることに注意しましょう。

さらに、今回の問題では近似式を使用します。
\(t\)が1に比べて十分小さいとき、以下の近似式を使用することができます。
$$(1+t)^{\alpha} \simeq 1+\alpha t$$
このとき、左辺のかっこの中の初めの項は1にしなければならないことに注意しましょう。

taniten
taniten

この近似式は大学の物理で非常によく使われるので覚えておきましょう!

解答

下の図のように、2つの電荷を\(z\)軸上に配置し、その中心が原点になるようにデカルト座標系をとる。

はじめに、電荷\(q\)の点電荷が座標\((x,y,z)\)につくる電場\(\vec{E_{1}}(\vec{r})\)の各成分を考える。

座標\((x,y,z)\)と点電荷\((0,0,\frac{d}{2})\)の間の距離は、
$$\sqrt{x^2+y^2+\left(z-\frac{d}{2}\right)^2}$$
となる。

これより、電場\(\vec{E_{1}}(\vec{r})\)の各成分は、
\begin{align}
E_{1x} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{x}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{1y} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{y}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{1z} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{z-\frac{d}{2}}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}
\end{align}
となる。

次に、電荷\(-q\)の点電荷が座標\((x,y,z)\)につくる電場\(\vec{E_{2}}(\vec{r})\)であるが、これは上の電場\(\vec{E_{1}}(\vec{r})\)の各成分において、\(q \rightarrow -q\)、\(z-\frac{d}{2} \rightarrow z+\frac{d}{2}\)とすればよいので、各成分は、
\begin{align}
E_{2x} &= \frac{-q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{x}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{2y} &= \frac{-q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{y}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{2z} &= \frac{-q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{z+\frac{d}{2}}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}
\end{align}
となる。

したがって電場の重ね合わせより、2つの点電荷がつくる電場\(\vec{E}(\vec{r})\)は、
\begin{align}
E_{x} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{x}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}} – \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{x}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{y} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{y}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}} -\frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{y}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}\\
E_{z} &= \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{z-\frac{d}{2}}{[x^2+y^2+(z-\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}} – \frac{q}{4\pi \varepsilon_{0}} \frac{z+\frac{d}{2}}{[x^2+y^2+(z+\frac{d}{2})^2]^{\frac{3}{2}}}
\end{align}
となる。

それぞれの電荷が作る電場を、足し合わせるだけでいいんだね!

ふうた君
ふうた君

最後に、電荷からの距離が間隔\(d\)に比べて十分遠い距離での電場について考える。

原点から座標\((x,y,z)\)までの距離\(r\)は\(r=(x^2+y^2+z^2)^{\frac{1}{2}}\)であり、\(r \gg d\)の場合を考えるので近似式を使用することができ、
\begin{align}
\left[x^2+y^2+\left(z \mp \frac{d}{2}\right)^2\right]^{-3/2} &\simeq [x^2+y^2+z^2 \mp zd]^{-3/2}\\
&= r^{-3}\left(1 \mp \frac{zd}{r^{2}}\right)^{-3/2}\\
&\simeq r^{-3}\left(1 \pm \frac{3zd}{2r^{2}}\right)
\end{align}
となる。

taniten
taniten

近似式を適用するためのこの式変形もめちゃくちゃ重要です!
試験に出ますよ〜〜

これを電場の式に代入して計算すれば、十分遠い位置での電場の各成分は、
\begin{align}
E_{x}&=\frac{qd}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{3zx}{r^{5}}\\
E_{y}&=\frac{qd}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{3yz}{r^{5}}\\
E_{z}&=\frac{qd}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{3z^{2}-r^{2}}{r^{5}}\\
\end{align}
となる。

taniten
taniten

\(z\)方向の電場だけ式の形が違うのは、電気双極子が\(z\)方向に配置されているからだね。

はじめはごちゃごちゃしていた式も、十分遠い場所で近似をすることで、だいぶ簡単な式で表すことができたね。

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

ちなみにこの式は極座標表示に直すことができて、こちらはより直感的な表し方になるんだけど、それはまた後ほどの記事で解説するから待っててね!

コメント

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