速度の2乗平均で気体の圧力を表す【気体分子運動論 #1】

熱力学
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taniten
taniten

今回から3回に分けて、気体分子運動論を解説していくよ!

うわ〜、なんだか大変そうだね・・・。

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

熱力学の中でも特に難しいところだね。
焦らず、丁寧に追っていこう!

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気体分子運動論って?

そもそも気体分子運動論とはなんでしょうか?

こちらの記事でも解説した通り、物質は固体・液体・気体の3つのいずれかの状態で存在します。

その中の気体は、「各原子・分子の運動が激しく、ほとんど自由に運動している状態」でしたね。

自由に運動しているということは、原子間、分子間の相互作用がほとんどないことを意味しています。

つまり気体分子というのはモデル化しやすく、計算の結果と矛盾しないような実験結果を得ることができるのです。

簡単なモデルで考えることができるのは便利そうだね!

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

この気体分子の運動をモデル化したものが、気体分子運動論なんだ!

ピストン内の気体の圧力を求める

それでは気体分子の運動を物理的に考えて、ピストンにかかる圧力を計算していきましょう。

そのために、図のようなシリンダー内の気体をピストンで封じている状態を考えます。

シリンダー内の気体分子とピストン

分子が与える力積\(I_{x}\)

シリンダーの断面積は\(S\)、長さは\(l\)で、その中に\(N\)個の気体分子が封入されているとします。

これらの気体分子の質量を\(m\)とし、その速度を\(\vec{v}=(v_{x},v_{y},v_{z})\)とします。

この気体分子がピストンに与える力積\(I_{x}\)を計算してみましょう。

taniten
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現時点(6/3)ではまだ力積の記事は書いていないけど、知っているものとして話を進めます。申し訳ないです!

ここで気体分子同士の衝突は無いものとし、気体分子はシリンダーやピストンと弾性衝突するとします。

気体分子がピストンに与える力積\(I_{x}\)

気体分子がピストンに与える力積は、気体分子の弾性衝突前後の運動量の変化に等しいので、\(I_{x}=2mv_{x}\)となります。

気体分子の運動量は衝突前が\(mv_{x}\)、衝突後が\(-mv_{x}\)だから、ピストンには\(x\)軸の正方向に\(2mv_{x}\)の力積が働くんだね!

ふうた君
ふうた君

分子が与える平均の力\(f\)

この力積\(I_{x}\)から、気体分子がピストンに与える力も求めてみましょう。

ここで、気体分子は常に\(x\)軸方向に速度\(v_{x}\)で進んでいるわけでは無いので、あくまで今から求める力は平均の力であることに注意しましょう。

taniten
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気体分子の運動はランダムだからね。

気体分子が跳ね返ってまた戻ってくる

ピストンに衝突した気体分子が、シリンダーの底面で跳ね返って再びピストンに衝突するまでの時間\(t_{x}\)は、\(\displaystyle t_{x}=\frac{2l}{v_{x}}\)となります。

分子の速度\(v_{x}\)も平均の速度だから等速直線運動の式に当てはめるだけだね!

ふうた君
ふうた君

この気体分子は、\(t_{x}\)の時間間隔でピストンに力積\(I_{x}\)を与えます。

つまり、この気体分子が単位時間当たりにピストンに与える平均の力\(f\)は、\(\displaystyle f=\frac{I_{x}}{t_{x}}=\frac{mv_{x}^{2}}{l}\)となるのです。

taniten
taniten

力積は「力」と「力が加わる時間」の積でも表せるんだね。

気体が与える圧力\(p\)

気体分子がピストンに与える力が分かったので、シリンダーの断面積\(S\)から、圧力も計算できますね。

いまシリンダー内には\(N\)個の気体分子が入っており、それらの\(x\)軸方向の速度\(v_{x}\)の平均を\(\bar{v_{x}}\)とおくと、ピストンに単位時間あたりにはたらく圧力\(p\)は、\(\displaystyle p=\frac{Nf}{S}=\frac{Nm\bar{v_{x}}^{2}}{lS}=\frac{Nm\bar{v_{x}}^{2}}{V}\)となります。

ここで、シリンダーの体積を\(V=lS\)とおきました。

これでピストンが全粒子から受ける圧力が分かったね!

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

そうなんだけど、もうちょっと一般的な形にすることができるんだ。

速度の2乗平均で圧力\(p\)を表す

これまでの議論で、シリンダー内の気体分子たちがピストンに与える圧力\(p\)は、
$$p=\frac{Nm\bar{v_{x}}^{2}}{V}$$
と求めることができました。

しかし、この式に含まれている\(\bar{v_{x}}\)というのは、あくまで\(x\)軸方向の気体分子の速度ですよね。

実際は気体分子はランダムに運動しているので、\(x\)軸のようなある決まった方向だけの速度を使うのは、物理の式として綺麗ではありません。

そこでこの\(\bar{v_{x}}^{2}\)の部分を、一般的な速度ベクトルの2乗平均\(\bar{v}^{2}\)で表せないか考えてみます。

(※速度ベクトルについての記事はこちら)

taniten
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速度ベクトル\(\bar{v}\)ならどんな方向に運動している分子でも考慮に入れることができるね。

こちらの記事にも書いたように、体積\(22.4\,\mathrm{L}\)中には\(6.02\times 10^{23}\)個もの膨大な量の気体分子が存在します。

このようなとてつもない量の気体分子が存在するときは、もはや気体分子の平均速度はどの方向でも同じとみなせるのです。つまり、
$$\bar{v_{x}}^{2} = \bar{v_{y}}^{2} = \bar{v_{z}}^{2}$$
ということです。

また、速度ベクトルの関係から、
$$\bar{v}^{2} = \bar{v_{x}}^{2} + \bar{v_{y}}^{2} + \bar{v_{z}}^{2}$$
が成り立ちます。

これらの式から、気体分子の\(x\)軸方向の平均速度の2乗\(\bar{v_{x}}^{2}\)と、平均速度の2乗\(\bar{v}^{2}\)の間には、
$$\bar{v_{x}}^{2} = \frac{\bar{v}^{2}}{3}$$
という関係があることがわかります。

したがって、気体からピストンが受ける圧力\(p\)は最終的に、
$$p=\frac{Nm\bar{v_{x}}^{2}}{V}=\frac{Nm\bar{v}^{2}}{3V}$$
となります。

これなら\(x\)軸方向に限らず、どの方向でも同じ形の式で表せるね!

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

そう。
結局、どの方向にもかかっている圧力の平均値は同じってことだね。

まとめ

体積\(V\)の容器に封入された\(N\)個の気体分子による圧力\(p\)は、気体分子の質量\(m\)、速度の2乗平均\(\bar{v}^{2}\)を用いて、
$$p=\frac{Nm\bar{v}^{2}}{3V}$$
と表せる。
taniten
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今回の内容を踏まえて、次回は平均運動エネルギーというのをやっていくよ。

しっかり復習するぞ〜!

ふうた君
ふうた君

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