日本を救う発電方法!?プルサーマル計画とは?

科学ニュース
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先日以下の記事が出ていました。

厄介? 減らないプルトニウム - Yahoo!ニュース
再処理工場で使用済み核燃料から取り出されるプルトニウムは核兵器の原料にもなり得るため、必要量以上の保有は許されない。「今となってはプルトニウムはコスト高の厄介者」という指摘も。

今回はこの記事で出てくる「プルサーマル計画」について解説しようと思います。

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プルサーマル計画とは?

プルサーマル計画とは,「使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウム」と,「ウラン」を混ぜた「MOX燃料」を,原子力発電所で使う計画です。

プルサーマルとは,「プルトニウム」と「サーマルリアクター(熱中性子炉)」を組み合わせた和製英語です。

分からない単語がたくさん出てきた・・・。

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

まずは原子力発電に使われる核燃料について理解しよう。

核燃料のいろは

核燃料の種類は?

原子力発電のWikipediaには,核燃料について以下のように書いてあります。

原子には、中性子を捕捉して分裂する物と、捕捉しても分裂しない物があることが知られている。分裂する物として代表的なものは、ウランの放射性同位体であるウラン235、プルトニウム239である。しかし、プルトニウム239は天然にはごく微量しか存在しないため、核燃料としてはウラン235が使われる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB#%E6%A0%B8%E7%87%83%E6%96%99

つまり核燃料として使われることが多いのはウラン235で,一応プルトニウム239も使えるけど天然物は希少なので,こっち単体ではあまり使われないということですね。

ウラン235の核分裂

http://www.japc.co.jp/project/cycle/mox01.htmlより引用

上図はウラン235の核分裂の様子を模式的に表したものです。

ウラン235は中性子と衝突して核分裂し,エネルギーを生み出します。

taniten
taniten

ちなみに1\(\,\mathrm{g}\)のウラン235から出るエネルギーは石炭3トン,石油2000リットルと言われています(参考)。

核分裂の際,エネルギーとともに中性子いくつか飛び出します。
この中性子が他のウラン235に衝突し,次々と連鎖反応を起こしていくことで膨大な量のエネルギーを生み出すのです。

次々に連鎖反応が起こると危なそうだけど,大丈夫なの?

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

原子力発電で使われるウラン燃料は,ウラン235が3~5%で,残りの95~97%は核分裂しづらいウラン238で構成されているよ。
ここに減速材を追加することで,一定の規模でしか核分裂の連鎖反応が起こらないように調整されているのさ。

プルトニウム239の生成

このウラン235の核分裂によって生成された中性子は,燃料の大部分を占めるウラン238に吸収されます。

ウラン238は中性子を吸収すると,最終的にプルトニウム239という別の原子に崩壊し,このプルトニウム239もウラン235と同じように,エネルギー源となるのです(下図)。

http://www.japc.co.jp/project/cycle/mox01.htmlより引用

ウラン235だけではなく,このプルトニウム239の核分裂も大いに利用してやろうというのが,「プルサーマル計画」なのです。

プルサーマル計画に使うMOX燃料とは?

taniten
taniten

ここではプルサーマル計画に使う「MOX燃料」について解説するね。

まだ使えるウランとプルトニウム239は,使用済み燃料の再処理によって回収されて,再び燃料として加工されます。

ここで回収されたプルトニウム239とウラン燃料を組み合わせて作った燃料のことをMOX(Mixed Oxide Fuel の略)燃料というのです。

MOX燃料と通常のウラン燃料を混合して原子力発電に利用すれば,天然ウラン資源の節約に繋がります

資源小国の日本にとって,ウラン資源の利用効率を高められる可能性があるプルサーマル計画は,画期的な発電方法と言えるかもしれません。

問題点は山積み・・・

天然では希少なプルトニウム239を発電の過程で生成できて,さらにそれもエネルギー源として利用できるなんて,すごく効率的だね!

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

そうだね。でもそう簡単にはいかず,様々な問題点があるのです・・・。

経済的な問題

そのまま使用済み燃料を処理する場合よりも,プルトニウム239を回収するという工程が増えてしまうため,コストが高くなります。

技術的な問題

もともとウラン燃料を前提とした軽水炉でMOX燃料を使用するため,技術的な課題も多いと言われています。

例えば「制御棒の効きが悪くなる」,「反応過程によって効率の良い熱エネルギー生成ができなくなる」,「発熱のムラが生まれると制御棒の破損の恐れがある」などがあります。

安全面の問題

きわめつけは安全面での問題です。

ウラン燃料に比べると,MOX燃料は放射能が強いため,作業員の被曝リスクが高くなります。

さらに万が一事故が起きると,ウラン燃料のみの原子炉よりも超ウラン元素の放出量が多くなってしまいます。

通常の原子力発電よりもより多くの安全対策を講じる必要があるため,ここでもコストがかかると言っていいでしょう。

な,なんだか難しい問題ばかりだね。

ふうた君
ふうた君
taniten
taniten

そうだね。

しかもいま日本では再処理待ちの使用済み燃料や,MOX燃料が使われずに置いてある状態なんだ。

プルサーマル計画による発電が,救世主となるのか,それとも悪魔になるのか,今後の動向に注目していきましょう。

参考にさせていただいたサイト様

プルサーマル計画 | 日本原子力発電株式会社
日本原子力発電株式会社 東京都千代田区 東海村・敦賀など原子力発電所の建設・運営。
原子力発電のしくみ | 原子力開発と発電への利用
原子力発電で電気をつくるのしくみについて図解で紹介します。
プルサーマル - Wikipedia

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